レストラン利用もサブスクリプションの時代へ、MealPalが示す未来のランチ

2011~2016年にかけて100%以上の成長を見せた北米のサブスクリプション型Eコマース市場。マッキンゼーの推計によると、大手500社の売上高は2011年の5700万ドル(約63億円)から2016年には26億ドル(約2800億円)に拡大しました。

当初からサブスクリプション型サービスを提供するNetflixやSpotifyなどが主要プレーヤーとして挙げられますが、ニーズの高まりからサブスクリプションサービスを新たに導入する消費者ブランドが増え市場は活況の様相を呈しています。

P&Gが2017年5月に開始した「Gillette on Demand」はカミソリの刃を定期的に受け取ることができるサブスクリプションサービス。ウォルマートの美容プロダクトサンプルを定期的に受け取れる「Beauty Box」というサービスもあります。

Gillette on Demandウェブサイト
https://ondemand.gillette.com/

生活のさまざまなシーンに浸透しつつあるサブスクリプションサービス。その強みは、行動データから顧客の思考を推察し、顧客に最適なサービスやプロダクトを提供することで顧客体験の質を高められること。

また顧客の行動を予測できるようになることで、ビジネスコストを抑えることが可能となり、企業側のコストダウン、さらには顧客が支払う最終価格を抑え、WinWinの関係を構築できる点にも注目が集まっています。

最近では、リアルビジネスである飲食店でのランチやディナーをサブスクリプションで提供しようという新たなサービスが続々と登場、サブスクリプション・エコノミーが飲食分野でも広がりを見せようとしています。

今回は米大手メディアCNBCが2018年10月に発表した「注目スタートアップ100社」にノミネートされたサブスクリプション型レストランアプリMealPalの詳細と最新動向をお伝えし、サブスクリプション型レストランの可能性を探ってみます。

40%オフでレストランのランチ/ディナーを楽しめるMealPal

2016年ニューヨークで設立されたMealPal。月額課金で提携レストランのランチまたはディナーを通常より安い価格で楽しむことができるサービス。米国に加え、このほどオーストラリアとシンガポールでもサービスを開始しました。

月額料金は場所によって異なるようです。たとえばニューヨーク・ブルックリン地区では、ランチ12回プランは月額76ドル(約8400円)、20回プランは119ドル(約1万3000円)。ディナー15回プランは97ドル(約1万円)、10回プランは70ドル(約7600円)。一回の食事は、6〜7ドルに収まる計算になります。

すでに広く普及しているDeliverooやUber Eatsなどのフードデリバリーサービスと大きく異なるのは、利用者自身がレストランまで足を運び、料理をピックアップするという点。デリバリーをなくすことでコストを抑えています。

DeliverooやUber Eatsでは、デリバリー費用で数ドルを支払う必要があり、一度の食事の値段が高くなってしまいます。MealPalは食費を抑えつつ、レストランクオリティの食事を楽しみたいユーザーに歓迎されているようです。

MealPalウェブサイト
https://mealpal.com/sg/

また、MealPalでは提携レストランがメニュー(1日1品)を決め、予約数・ピックアップ時間を事前に把握できるため一層のコストダウンを実現しています。

通常、平日のレストランが混雑するのは昼休みの正午〜午後1時頃。正午まではほとんど客もなくスタッフが手持ち無沙汰状態になることがほとんど。しかし、MealPalのランチであればユーザーの予約が当日の10時30分までになされるため、その情報を基に効率的に準備を行うことが可能となります。ディナーは午後4時までの予約が必要。

MealPalの国際市場部門ゼネラルマネジャー、ポール・クリフォード氏がChannel News Asiaに語ったところによると、オーストラリアでは通常の売上に加えMealPalを介して毎週数千ドル分の売上を上げている提携レストランがあるといいます。

このことは人員・時間の効率的な利用によってスタッフを追加せずに、売上を増やすことが可能であることを示しています。クリフォード氏によると、MealPalでの1回の食事コストはレストランの価格に比べ40%も低いようです。

MealPal、デリバリーアプリとの棲み分け進む可能性

DeliverooやUber Eatsなどのフードデリバリーサービスは、絶対に手が離せない仕事や用事がある緊急時に重宝するサービスといえるでしょう。アプリからレストラン・商品を選び、デリバリーフィーを支払い、オフィスや自宅まで届けてもらうことで、一歩も外に出ず食事をすることが可能となるからです。

Uber Eatsデリバリーの様子

一方、デリバリーのないMealPalは比較的余裕のあるときに大きな価値をもたらすサービスとして棲み分けが進む可能性があります。食事のコストは安くなるものの、レストランまで足を運ぶのは時間の無駄になるという考えを持つ人は多いかもしれません。しかし、その状況が変わりつつあるからです。

シェアオフィス検索サービスWorkthereの調査では、英国のオフィスワーカーの52%がランチをとらないと回答。またランチをとると回答した人の37%が自分のデスクで食事を済ませると回答しています。

ランチ時間に関しては34%が21〜30分、13%が20分以下と回答。オフィス内のプレッシャーによって、ゆっくりとランチをとれない状況が蔓延していることが明らかとなっています。これは英国だけでなく、米国や欧州、アジア各国の大都市でも見られる傾向といえるでしょう。

一方「適度な休憩」が生産性を高めるという調査が多く発表されており、ランチタイムを活用し敢えて外に出向く人々が増えてくる兆しもあるのです。

2011年学術誌Cognitionに寄稿されたイリノイ大学の調査では、オフィス内のタスクは少しの時間タスクから離れる方が高い集中力を維持できることが判明。また時間管理ツールのDeskTimeが同社ツールの利用者500万人以上のうちもっとも生産的とされるトップ10%を調べたところ、その多くが52分集中し、17分休憩していることが明らかになりました。

MealPalを使えば、ランチをピックアップするためにオフィスから離れ、午後の生産的なタスクに向け有意義なリフレッシュができると考える人も増えてくるでしょう。

2018年7月にMealPalがサービスをローンチしたシンガポールでは、さまざまな国籍のオフィスワーカーが働いており、ランチタイムは異文化理解を促進する時間としても機能しています。このためMealPalは、そのサブスクリプションサービスのなかに、同僚がMealPalで何を注文したのかが分かるWorkPalsという機能を世界で初めて導入しました。ランチタイムのソーシャルスペースとしての機能を一層強化しようという試みといえるでしょう。

シンガポールのランチ風景

予測精度の向上がもたらす顧客体験の改善

継続的に顧客に寄り添い続けるサブスクリプション型サービスでは、一貫性のあるユーザーの行動データを取得し、それを顧客体験の改善につなげることが肝となります。MealPalでは、どのような改善フィードバックが生まれているのでしょうか。

1つは、予約からピックアップまでの時間を短縮できること。どのユーザーが、何曜日何時間に、どのレストランで、どのような品をオーダーするのか。このようなデータが蓄積していくことで予測精度が高まり、レストランは事前にどのような準備をすればよいのか、それが明確になります。実際、MealPalの予約受け付け締切時間は、サービス開始当初午前9時30分だったようですが、現在は午前10時30分に設定されています。

同社共同創業者のメリー・ビギンズ氏がテッククランチに語ったところでは、リアルタイムオーダーも可能になるとのことです。未来の時間は遠くなるほど不確実性が高まります。オフィスにおいては、突然の会議や緊急事態が起こることは日常茶飯事。予約・ピックアップ時間の短縮による不確実性の低減は、ユーザー体験を大きく改善しているといえるでしょう。

メニューに関しても多くのフィードバックを得ており、今後はハラル、ベジタリアン、グルテンフリーなど、ユーザーの食事志向に合わせた細かいチョイスができるようになるかもしれません。

MealPalを筆頭として増えてくることが見込まれる飲食分野のサブスクリプションサービス。どのようなサービスが登場するのか、今後の発展に期待が寄せられます。

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