シリーズ「After Digitalな世界」第1回:わたしたちは今、世界の変わり目にいる

学生時代、世界史は苦手だったという方でも、紀元前(B.C.)、紀元後(A.D.)という表現は、一度は耳にしたことがあるでしょう。

現在、デジタルの隆盛にともなって、この紀元前と紀元後の変わり目にも匹敵するような変化が起こり、「After Digital(新たなA.D.)」が始まりつつある、という考え方があります。

全4回のこのシリーズでは、「After Digital」とはどんな世界なのかをご紹介していきたいと思います。

第1回目は、先日、ビービットのCOO中島が視察に行ってきた、ある国のお話から。


みなさんは、「エストニア」という国をご存知ですか?

バルト三国と呼ばれる、ポーランド・ロシア・フィンランドに囲まれた3つの小さな国のうち、最も北に位置するのがエストニア。この国では、1990年代から国を挙げてデジタル技術の開発が進められてきていたそうです。

ロシアという強国がすぐそばにいて、物理的な「国土」がいつ脅かされるかわからないという状況や、人口が少ない中でどうやって行政サービスを充実させるかという課題意識が、デジタル開発を積極的に進める背景にあったのだと思います。

COO中島によれば、現在のエストニアでは行政サービスはほとんどがデジタル化されているとのこと。たとえば日本のいまひとつ浸透していないマイナンバーに対して、エストニアの個人IDは投票、納税、土地の登記、免許の登録、企業や学校への応募などに対応していて、ネット上でIDを入力すれば、これらの手続きが簡単にできるようになっているそうです。

他にも、他人の所有財産リスト、地図上の所在地、さらに、他に誰がこの情報にアクセスしたのかまで、誰でも見られるそうで。びっくりしちゃいますが、そこまでオープンだと、逆に犯罪率も低いんだそうです。

あとは、e-residencyっていう制度があって、これは、どこの国の人でもエストニアの「電子国民」になれる、というもの。日本の役所みたいに書類だハンコだっていうのは必要なくて、オンラインの手続きだけでOK。電子国民になったら、エストニア国内での起業もできるし、確定申告もできます。もちろん、そういう手続きもオンラインで完結。

もうほんとに、物理的な境界線とか、民族とか血とか、そういうものでは捉えていないんですね。

面白いのは、そんなデジタル行政でも、ちゃんと役所で手続きをしないといけないものが3つあること。なんだと思います?

正解は、結婚、離婚、不動産取引。この3つはどれも人生において大切なイベントだから、「儀式として」オフラインの手続きをしましょう、という考え方なんだとか。

技術や法律の問題で「できない」からじゃなくて、「特別感」のために、オフラインを使う。こんな例を見るだけでも、エストニアのリアルとデジタルの考え方が、とても先進的だとわかります。

わたしたちは、「デジタルはリアル空間での生活をより便利にしてくれるもの」と考えがちです。手帳を持ち歩いて書き込むのが面倒だから、スマホにスケジュールアプリを入れる、なんて、みんなやってますよね。

でもエストニアの例を見ると、デジタル化の本当の意味は、単にリアルの世界で生まれる不便さを解消したり、効率をよくしたり、ということだけではないように思えます。確かに確定申告が全部デジタルでできたら、便利ですよね。でもエストニアではデジタルで完結するのは当たり前。その上で、結婚みたいな大切なイベントは、デジタルでさくっと済ませちゃうんじゃなくて、自分で手書きして、役所に行って、ちゃんと丁寧に手続きをする。リアルは不便とか非効率っていうイメージではない、大切で特別なものとして登場しているんです。

COO中島は、デジタル化によって起こるのは「デジタル空間とリアル空間の主従の逆転と、それに伴う世界のルールの根本的な変化だ」と言います。

After Digitalの世界はデジタル空間が主になった、デジタル化した世界。そこでは、ルールや活動の出発点はあくまでもデジタルで、デジタルだけでの完結が難しかったり、結婚の例のようにデジタルで済ませちゃったら味気ない場合にだけ、リアルが登場する。出発点はデジタルだから、リアルで起こることもデジタル世界の考え方で捉える。これは「デジタル側からリアルを見ている」とでも言うべき世界観です。エストニアの行政サービスは、この方向の、極端ではあるけれど1つの完成形なのでしょう。

最近、エストニアや、バルト海をはさんでお隣のフィンランドでは、若者を中心に”The World is Changing.”というフレーズがよく使われるようになってきたそうです。誤解をおそれず意訳すれば、「キテるよ!」という感じでしょうか。

「キタ」あとの世界が、この連載のテーマである「After Digital」の世界。次回はAfter Digitalにおいてビジネスはどうなっていくのかについて、お届けする予定です。


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