顧客のことを考え続けてきたからこそ見えたUSERGRAMの可能性とCRMの未来

4月に入社した前田さんは前職・タワーレコードのEC事業において、売上を大幅に向上させたという、Webマーケティング界の有名人です。
今回は前田さんにインタビューし、これまでの経験や、現在関わっているUSERGRAMについて聞きました。

百貨店からスタートしたキャリア。黎明期のCRMに携わることに

田城:本日はどうぞよろしくお願い致します。

前田:どうぞよろしくお願い致します。

田城:最初に、これまでのご経験を簡単に教えてもらえますか?

前田:大学生の頃はカルチャーに興味があって、映画会社やマスコミを受けていました。その当時、セゾングループが文化の発展を後押しするような様々な事業をやっていたのを知って西武百貨店に入社し、渋谷店に配属になりました。

田城:最初は店舗だったんですか?

前田:配属は店舗でしたが、マーケティングコースで入社したので、LOFTを作るプロジェクトや、百貨店の店舗リニューアルのプロジェクトをやっていましたね。
並行して営業企画や、フリークエントショッパーズプログラムをやっていました。

田城:西武そごうのフリークエントショッパーズプログラムというと、買い物した金額に応じてポイントカードのランクがシルバーからゴールド、プラチナと変わっていくという…。

前田:そうです。当時、顧客を理解するためにクレジットカードの決済データを分析していたのですが、クレジットカードのデータだけだと全体の売上に占める比率が低いので、よくわからなかったんですよね。
そこでフリークエントショッパーズプログラムを導入して、会員数を増やし、データが取れるようにしました。

田城:じゃあ、いわゆるCRMの黎明期から関わっていたんですね。

前田:そうですね、リアル店舗のCRMという、いわばCRMのVersion1から関わっていた感じです。

田城:その当時のCRMの仕組みについて簡単に教えてもらえますか?

前田:さきほど話したフリークエントショッパーズプログラムですね。これはアメリカから始まったのですが、要するにポイントカードによる情報収集です。いつ、何を買ったのかという情報をいただくお礼にポイントを付与して、お客様にはお買い物に役立てていただき、我々は購買データを元にマーケティングの改善を目指した、という。

田城:確かに、90年代後半から色々なお店でポイントカードを発行するようになりましたね。

前田:そう、そのポイントカードがまさしくCRM Version1ですね。

その後、プライスウォーターハウスコンサルタントに移ってCRMコンサルティングに従事した後、スクウェア・エニックスを経てタワーレコードに移りました。

飛躍的に増えた顧客データがCRMを進化させた

田城:タワーレコードではECでの売上を4倍にも成長させたと聞き、大変驚きました。

前田:タワーレコードでの経験が、それこそCRM Version2ですね。

田城:ぜひ詳しく教えてください。

前田:まず、リアル店舗では、ポイントカード会員やクレジットカード決済でないとデータが取れなかったわけですが、ECは会員にならないと買えないので、すべての顧客の購買データが取れるようになりました。そこで取れた購買データを徹底的に分析して売上を伸ばしていったんです。

具体的には、これまで小売業界ではどの商品が売れたかを見る、商品勘定が一般的でしたが、顧客が何をどれだけ買ったかを見る、顧客勘定を取り入れました。

田城:小売が商品勘定しか見ていなかったなんて、なんだか意外です。

前田:BtoB企業は以前から顧客勘定が当たり前ですから、意外かもしれないですが、小売は商品勘定が基本です。百貨店は昔から顧客を見ていましたが、それはあくまで例外ですね。

商品勘定だけでなく顧客勘定など、数字を複眼的に見たほうが売上が上がるだろうと考えました。

タワーレコードではRFM分析(Recency :直近の購入日、Frequency:来店頻度、Monetary :購入金額、の3指標で顧客をランク付けして分析する手法)なんかもかなりやりました。例えば顧客を音楽のジャンルと購入額で36のクラスタに分けて、それぞれに合わせたレコメンド情報を流したり、キャンペーンのメールを送ったりしたんです。

すると購入から一定期間以上経つと顧客の離反率が上がる、ということがわかったりして、サンクスメールを送って離反率を下げる、といった取り組みを行ったりしました。

その結果、同じようなキャンペーンでも売上が数倍伸長するといった成果を出すことができました。

田城:この配信全盛の時代に…!

前田:CRM Version1の時と違い、すべての顧客の購買データから分析することができるようになったのは大きかったと思います。

定量分析の限界を感じたときに出会った「行動データの活用」

前田:一方で、行き詰まりもありましてね。

田城:こんなに数字が出ていたのにですか?

前田:例えば先ほど話した離反率。当初半分近くが離反していたのを、その3分の2くらいまでに抑えることができたのですが…そこで止まってしまった。
また、RFM分析もね、とある企業にAIを使ってすべて分析してもらったんですが、RFMが高い人は離反しなくて、低い人は離反する、という結果が出ました。

田城:それは…、そうなのでは…?

前田:そう、そりゃそうだろうって話ですよね。これは、データが足りないからじゃないかと思いました。購買データを見ているだけではダメで、行動データなど、もっと広範なデータが必要なのではないかと。

先ほどはCRM Version1、2とお話ししましたが、リアル店舗ではフリークエントショッパーズプログラムに加えてリアルでお客様の顔が見えていたのに対し、ECでは購買データしかないので、ある意味後退していたのではないかとさえ思うようになりました。

もっとユーザのことを理解したい、怒りのポイントはどこにあるのか、ペインポイントはどこにあるのか。

そんな時に、USERGRAMを知りました。行動データに基づいてユーザエクスペリエンスを回していく、という考え方を知った時、これが未来のCRMになると思いました。

このまま事業会社でCRMを回していくのもいいですが、ツールと共に行動データを見るという考え方を広める、提供側に回るのもいいのではないかと考えてビービットに移りました。

成功者の行動から学ぶ、USERGRAMの分析方法

田城:前田さんにとって、USERGRAMがいい、と思ったポイントを教えてもらえますか。

前田:そうですね、Google Analyticsのような定量分析ツールは、PVやセッションなど無味乾燥な数字を出すのに対し、USERGRAMはお客様の行動が見られるじゃないですか。しかもデバイスやセッションまたぎも見ることができる。狙ったお客様が狙い通りの行動を取ってくださっているのかどうかを一目で確認できるところが良いですね。

また、USERGRAMはコンバージョンした人、いわば成功者に絞って行動を抽出するわけですが、これがもう、コペルニクス的転回でしたね。ああ、そうか!と思いました。

田城:普通は買ってくれなかった人、コンバージョンしなかった人の行動を見て原因を知りたいと思いがちですよね。

前田:いや、成功者から学ぶというのは、とても大切なんですよ。

昔ね、西武でマーケティングやっていた時、実際の顧客に来ていただいてグループインタビューをやったことがあったんです。
その時、よく西武に来て買ってくれていた人のインタビューは、良い話も悪い話も沢山出てきて盛り上がったのに、あまり来ない、買わない人のインタビューは全然盛り上がらなかったんですよ。
ふんわりした話しか出てこなくて情報が全く集まらなかった。

何故だと思いますか?

田城:回数が少ないから覚えていない、とか…?わかりません。

前田:無関心だからです。
先ほどから成功者から学ぶという表現をしていますが、実際には無関心層を取り除く、というのが正しいと思います。

愛情の逆は憎しみだと言われますが、本当は無関心なんです。
憎悪で百貨店に行かないのではなく、無関心だから行かない。
だから情報を得ようとしても無からは情報を取ることなんかできないんです。

一方、成功者は愛着があるので意識も高いし、記憶もある。そして彼らの経験の中には、怒りやペインもあるんです。

だから成功者の行動を分析することで、怒りや痛みを感じるポイントを発見することが大事なんです。

田城:なるほど、無の行動は、分析しても意味がないんだ…!

前田:そう、例えばタワーレコードだと商品をカートに入れて放置するという、いわゆるカート落ちという現象があるわけですが、これが何で起きてしまうのか。商品ではなくプロセスに問題があるのであれば、その場所を特定して改善しなければいけません。

でもカート落ちした人で分析しようとすると、単に商品が悪かった可能性も残るので、プロセスに問題がなかったかを正しく分析できないかもしれません。一方で、買ってくれた人というのは、少なくとも商品は悪くなかったことが証明されていますよね。なので、プロセスについて分析するには、成功者の行動を分析することが一番なんです。

また、タワーレコードだと購買したデータから好きな音楽のジャンルが分かるわけですが、買いはしなかったけど見ている商品というのもあるわけじゃないですか。そこからリコメンドのロジックを組み立てたら面白いことが起きると思います。

こういうのはタワーレコード時代はUSERGRAMがなかったので、「サザンを聞いている人はワンオクも好きらしいよ」といった情報から試してみるしかなかったわけですが、USERGRAMがあれば実際にわかるのも強いですよね。

田城:ユーザの行動がわかると、マーケターにとってできることが増えるわけですね。

定性分析によって商売感覚を身に着ける

田城:一方で、USERGRAMの定性分析という考え方は、これまでGoogle Analyticsの定量分析にどっぷりつかってきたマーケターの方に理解してもらうのは中々難しいのではないかとも思いますが。

前田:実際には定量分析からユーザを理解するという方が難しいんですよ。
例えば、セブンアンドアイホールディングスの鈴木元会長だったらPOSデータを見ただけでわかるかもしれないけれど、データから考える習慣がない人には難しいと思います。

カスタマーサクセスという言葉についてですが、カスタマーのサクセスを追求することで売上・利益という対価を得るという意味なのではないかと思います。
そのためにはカスタマーの体験を改善しないといけない、というのはわかるものの、売上・利益にどう結びついているのかわからない、という人は多いのかもしれません。

でも、実際にはロイヤルティマーケティングと売上・利益は循環しています。
それは間違いのないことです。

例えば近所の八百屋さんが買い物に来たお客さんの好き嫌いとかとか、共働きで忙しいから簡単に作れるものを好む、なんてことを知った上で応対したら、それは気持ちのいい接客ですよね。そしてそれをなんで八百屋の大将がやるかっていったら、売上・利益と循環していることを知っているからです。これは商売感覚の基本なんです。

これを理解してもらうために、店舗と同じようにネットでもユーザを追いかけるのが大事だよ、と伝え続けるのが重要だと考えています。どちらもお客さんを見てビジネスしないといけないのは一緒ですから。
ネットはようやく行動データが取れるようになったんですよ。なので、これからですね。

田城:前田さんにとって、USERGRAMに携わるようになって今一番わくわくしていることって何ですか?

前田:USERGRAMを使ってもらうことで、本当の意味でのカスタマーサクセスが実現できるのではないかと考えています。

USERGRAMは企画を立てるためのツールなので、立てた企画がお客様に受け入れられたのかを検証することは重要です。それと同時に、立ててどうだったのか、ということを検証することも非常に大事なことです。USERGRAMを活用して立てた企画で業績があがり、そしてその業績というのが、ユーザにちゃんと価値を提供できた結果として出たのだ、ということがUSERGRAMを通じて見えるようになっていくといいなと思います。


前田さん、ありがとうございました!

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