あなたはどっち?効率重視派と楽しみ派のお買い物行動 – エクスペリエンスデザインの現場から

「エクスペリエンスデザインの現場から」は、ビービットがプロジェクトの中で見つけた「ユーザが置かれている面白い状況・インサイト」をお伝えしていくシリーズです。ユーザの行動をじっくり観察し、エクスペリエンスデザインを行う過程でハッと気づいた瞬間の面白さを、皆さんにお伝えしていきたいと思います。

さて、今回は…

食品系ECサイトの調査をしていたときのことです。

食料品・日用品を扱うサイトという特性から、コンサルタントは「ユーザは当然効率を重視するだろう」という仮説を持っていました。実際、会社員や自営業など仕事を持っている人は効率を重視し、カテゴリに入ってから絞り込み検索やキーワード検索を使ったりして、最短で目的の商品を探し、カートに入れていきました(このようなユーザを、以下「効率重視派」とします)。

しかし、家事(および育児)に専念している人たちは違った行動を取りました。一覧画面を開いて、上から順に眺めていくのです。何ページも読み込み、1カテゴリに数分、長いと5分以上かけて閲覧していきます。トップページに季節の特集やセール情報が出ていたら、そこも時間をかけて見ていきました。

そこで家事専業ユーザにヒアリングしてみたところ、食品、日用品の買い物自体を、ある種「楽しんでいる」ということがわかりました。もちろん遊びとして楽しんでいるわけではありません。買い物は他の家事に比べて工夫の余地が大きい分、楽しめるタスクと言えるのだと思います(こちらのユーザを、以下「楽しみ派」とします)。

これは実店舗でも似た行動がみられます。例えば効率重視派が仕事帰り、保育園に子どもを迎えに行く前に食材を購入しようとする場合、遠くの割安なスーパーへ向かったりせずに高くても駅近の店へ行き、必要なものだけをカゴに入れて最短でレジへ向かいます。

それに対して、家事専業ユーザや、仕事がある人でも休日の買い物となると、店舗を一度ざっとみてから2周目でようやくカゴに入れていったり、安い食材や旬の食材をみてから今日の献立を考えて購入するという行動が見られます。

例えば楽しみ派は、スーパーで”鍋特集”のポップと共に市販のスープを集めたコーナーを見たら、今までカゴにいれていた食材を戻して鍋の材料を買い直すといった行動を取るのです。

ECサイトを運営するにあたり、売上を向上させるために「ついで買い」を促進したいと考えることはよくあると思います。しかし、「ついで買い」を促すにしても、効率重視派と楽しみ派ではアプローチが異なることも調査からわかってきました。

ここまでは、わかりやすさのために「効率重視派 / 楽しみ派」という言い方をしていましたが、実は2つは完全にわかれるものではなく、同じ人でも時と状況によって、どちらにもなる可能性があります。例えば、効率重視派のユーザが休日の買い物のときは楽しみ派の行動をとるなどです。

同じ人がどちらにもなり得るからこそ、どちらかだけにターゲットを絞るのではなく、どちらのモードでも気持ちよくお買い物ができるようなサイト設計をする必要がありました。

効率重視モードのユーザのためには、まずUI面で徹底的な効率化を行って必要な商品へ最短でたどり着けるようにしました。そして「買ってもらいたい」という提供側の視点で表示しユーザビリティを犠牲にしていたチラシ機能やキャンペーン画面の精査を行い、購入履歴からおすすめを表示するなどして、ついで買いの促進をめざしました。

楽しみモードのユーザのためには、楽しんでもらえるよう体験を設計しました。独自商品や新商品のPRを強化してユーザのお気に入りを発見してもらう機会を作ったり、季節の特集やユーザの購入する商品(例:酒類)に合う商品(例:おつまみ、肴になる料理など)をレコメンドするなど、ルーティンでない楽しさを感じてもらうような工夫を行いました。

今回の案件でも、ユーザ調査によって、お客様もビービットのコンサルタントも見逃していた「楽しみ派」というユーザのニーズや行動を浮き彫りにすることができました。

ユーザエクスペリエンスをデザインする際には、使いやすさだけでなく、楽しさのような満足度を重視した作りをすることも大切な場合があります。

専門的な知識、事例を知ること、経験則はどれもプロジェクトを進める上で重要ですが、同じくらい、またはそれ以上にユーザを見ることを通してしかできない発見が多くあります。体験を設計するエクスペリエンスデザインにおいては自分の知識や経験を信用しすぎず、自分の認識は1ユーザの認識に過ぎないということを忘れずにいたいものです。

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