体験設計の要、ユーザ行動観察調査の進め方とは:エクスペリエンスデザインコンサルタントの一日

社員の1日の働き方、第2弾は中堅コンサルタントの鈴木さんに聞いてみました!


こんにちは。エクスペリエンスデザインコンサルタントの鈴木です。

エクスペリエンスデザインとは、人間とモノ・サービス・制度などとの関係を向上させ、より便利で幸せな社会を作っていく仕事だと考えています。ユーザ行動観察調査はその一番の要になる業務です。
今日は、ユーザ行動観察調査がある1日のコンサルタントの働き方についてご紹介します。

 

ユーザ行動観察調査の準備に加え、後輩の育成も

10:00 出社

エクスペリエンスデザイン部門では、決まった時間や場所、服装で働くというよりは、「自分が一番生産性高く、集中力を発揮できるような働き方をする」ことを大事にしています。私はちょっとゆっくりめに出社することが多いです。

勝浦さんと同様、私も自転車通勤をしており、その日のTodoやスケジュールの組み立ては自転車に乗っているときに頭の中で整理しています。

10:15 後輩とのミーティング

エクスペリエンスデザインコンサルタントとして中堅の域に入り、最近ではプロジェクトの推進に加え、後輩の育成も行うようになりました。

今回のプロジェクトも後輩と共に行っています。出社後、まずは今日一日のタスクや、昨日までに作ったアウトプットについて確認し、フィードバックを行います。

フィードバックを行う際は、アウトプットに対してだけではなく、どういう過程を経てこのアウトプットにたどり着いたかを確認し、思考過程そのものにフィードバックを行います。後輩の成長の助けとなれるように常に意識しています。

10:45 午後の調査に向けて準備

現在はユーザ行動観察調査期間中で、今日は昨日に引き続き調査があるので、前日までの調査結果に基づいて調査設計の見直しを行います。具体的には、検証ポイントの優先順位の変更や、プロトタイプの修正など。1回の調査の中でも細かく見直しを行うことで、より良いコミュニケーション設計に近づけていきます。

12:00 ランチ

午後に調査とミーティングが立て込んでいるため、買ってきたサンドイッチでランチを済ませます。時間に余裕がある時には大手町の屋台村まで足を伸ばしたり、同僚みんなと外に食べに行くこともあります。

13:00 定例チームミーティング

中堅クラスになると、プロジェクト推進は基本的に全て任されるようになりますが、1日1回はマネージャと進捗を確認する時間を取っています。

マネージャの経験や知見から客観的にフィードバックをもらうことで、自分の思考やアウトプットがきちんとプロジェクトのゴール達成に向かっているか、確認・修正するのが大きな目的です。自分1人で考えるだけではなく、マネージャに話すことで思考が整理されるというメリットもあります。

また、このミーティングには後輩も参加しています。本人が今行っているタスクが、プロジェクト全体のどこに位置し、どのような貢献をしているかを理解してもらえるように、わかりやすい説明を心がけています。

というのも、自分自身、入社直後は言われたことだけをやればいいと思ってしまった時期がありました。ただ、それでは期待を超えた価値を出すことはできません。自分の仕事をプロジェクトゴールなどの上位目的から改めて捉え直し、必要であればより良い方法を提案する、というのがプロジェクトを主体的に推進するコンサルタントのあるべき姿勢だと考えています。たとえプロジェクトをサポートする立場であっても、そのような仕事の仕方をしてほしいので、全てのタスクがプロジェクトゴールの達成に紐づいていること、自分の仕事の価値と意味を理解できるよう、意識して伝えるようにしています。

今日のユーザ行動観察調査は2本。少しでも多くのインプットを得る

14:00 本日1回目のユーザ行動観察調査

調査の内容はプロジェクトの目的やフェーズによっても異なりますが、今回はクライアント企業のアプリ利用の現状カスタマージャーニーの把握と、改善案プロトタイプの検証を目的に行います。

通常、1回のユーザ行動観察調査は80~90分程度。この短い時間の中で質の高い行動観察を行うためには、できるだけ実際に近い状況を再現してもらうことが必要です。参加者にありのまま、リラックスしてインタビューに臨んでもらえるように、雑談をしてコミュニケーションを取りますし、インタビュールームも自宅にありそうな家具や内装にしています。

調査では、まずはクライアント企業の提供するサービスとの関わりについてヒアリングします。これまでどのような使い方をしてきたか、どのような変化があったかなど、事実ベースで聞いていきます。

その後、課題や伸びしろを探るため、実際に現状のサービスを使ってもらいます。その際、例えば「毎日、帰りの電車でSNSを見終わったあとにアプリを開くと仰っていましたが、今がその状況だとして使ってください」などと、できるだけリアルな状況を設定して使ってもらいます。本当に使う時間帯やその時の心理状況になってもらうことでより実際に近い体験を再現してもらうためです。

後半は、午前中に修正したプロトタイプを使ってもらって、想定していたような体験が実現できているかを確認します。

調査で気をつけているのは、意見を聞くのではなく、行動を見ることです。以前の記事で下地さんも話していた通り、実際の状況から離れたユーザに「どう行動すると思うか」と聞いても想像でしかなく、実際には全く違った行動を取ってしまう、ということが起きがちです。調査では「実際どう行動したのか」を観察し、「その時、どう感じたのか」を聞きます。事実に注目することが大切です。

また、ユーザ行動観察調査の肝というと、調査時に臨機応変に対応して情報を集めるとイメージするかもしれませんが、実際には事前の調査設計のほうが圧倒的に重要です。社内では「(ユーザ行動観察調査は)調査設計が8割」という言葉があるほどです。あらかじめ「何を明らかにしたいのか」という論点をシャープにし、仮説をもって臨むことが良い調査の条件です。

もちろん、事前にインプットをできるだけ多く得て仮説を立てておいても、中には想定と全く異なる状況にユーザが置かれ、想定と異なる行動を取る場面に遭遇することもあります。そうした時こそ、より良い体験設計への道筋が見つかるチャンスですね。

※ユーザ行動観察調査は機密事項のため、写真はイメージです

15:30 調査が終わったらクライアントと振り返りミーティング

ユーザ調査後は別室で見学しているクライアントと結果について振り返りを行います。

振り返りで行うことは、以下の3点です。

  1. モデレータの立場から、調査結果や所感を改めて共有し、すり合わせる
  2. クライアント自身の考えや気になったことを述べてもらう
  3. 調査結果を踏まえた上で論点を整理し、プロジェクトの方向性がブレないように意識を合わせる。

ユーザ調査にクライアントが同席することは非常に重要です。ユーザの実際の姿を目の当たりにすることで、誰のためのサービスなのかという目線を揃えることができるからです。改善方針について検討するときも、「あのユーザはこうだった」「あのユーザは使ってくれなかった」と事実を元に話をすることができるので、議論がまとまりやすくなります。

クライアントとコンサルタントが目の前のユーザに向き合ってプロジェクトを推進しているという手ごたえを得ることができるのも、調査の強みだと思います。

ブリーフィングの後は次の調査までにプロトタイプで直せるポイントがある場合は反映します。最近はAdobeXDでプロトタイプを作ることが多く、修正も素早くできるようになり、効率が上がりました。

※ユーザ行動観察調査は機密事項のため、写真はイメージです

16:30 マネージャと1on1ミーティング

お昼のミーティングはプロジェクトの進捗について話す時間でしたが、1on1ミーティングは週1回30分、自分のキャリアや目標についてマネージャに話してアドバイスをもらう時間です。

最近は後輩の育成について、マネージャの過去の経験や知見、思いについて教えてもらうことも多いです。成長したいと思う後輩に対して、どうすればより良い手助けができるか、改めて考える時間です。

18:00 2人目のユーザ行動観察調査とふりかえり

本日2本目のユーザ行動観察調査です。ターゲットユーザが医師や弁護士、企業の購買担当者といった特定の職業の場合や、現役世代が多い場合、本人の仕事が終わってから調査に協力してもらうため、夕方から実施することがあります。調査に集中するには体力がいるので、そのために昼頃から出社することもあります。

20:30 ブリーフィング終了!ジムに急ぎます 

ブリーフィングを終えてクライアントをエレベーターホールまでお見送り。
その後調査ルームの後片付けをして退社です。

1年ほど前からボクササイズジムのb-monsterに通いはじめました。今日最後のプログラムに間に合いそうなので予約。軽く夕食を食べてからスタジオに向かいます。


退勤後にボクササイズ!仕事だけではなく、ユーザとしての体験も積極的に行うからこそ成果が出るのだろうなと思いました。

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